遊のいろは 第二十四回です。
★遊のいろは 「ね」
「根っ子」
強くて深い根っ子があるから
大地をしっかりつかまえられる
嵐が来ても耐えられる
大きく枝を広げているから
実をどっさりとつけられる
風のおしゃべり聞きもらさない
太くて高い幹だから
小さな仲間を守ってやれる
どんな遠くも見わたせる
私は立った
強くて大きい
以前十才の女の子に贈ったものだけれど、その子に限らず遊の子どもにはどの子にも、こんな風に育ってほしいと願い、こんな風に育つはずだと信じているわけです。(by Wachinho)
「眠り」
僕が眠るのが大好きだから特にそう思うのかもしれないが、人間にとって眠りはとても大切だと思う。
深い睡眠がからだの疲れをとるのはもちろんだが、眠りの世界で高く羽ばたくことができれば、昼間の意識の偏りや歪みが調整され、問題解決の糸口がつかめるし、行き詰まりを突破する素敵なアイデアがプレゼントされることもある。
子どもの場合には、前の日に学んだことが眠りの間に心の奥に沈むわけだが、眠りが良質であれば、大切な印象はかき消されることも散りぢりになることもなく、安全地帯に到達する。そして、未来のしかるべき時に花開く。
夜ごと星々の世界に遊び、よい夢を見る子どもやおとなほど、人生に於いても良い夢を抱く、そんな風に言えるかもしれない。
そんなわけで、遊の保護者の方々には、日が沈んでから眠るまでの時間を大切に過ごすようにお願いしている。(by52)
「寝かせる」
大切な印象が眠っている間に心の深くに沈み、未来のしかるべき時を待つと書いた。ほんとうは心の小箱にしまわれ、開封の時期を待つと書きたかったのだが、それでは、しまっておいたものが、しまっておいた場所から、しまった時のままの状態で出てくるように受け取られかねないので、やめた。
実際には、沈んでいたものは、原形をとどめぬほどドロドロに溶けてしまったけれど絶妙な味で栄養も満点のものになっていたりする。羽が生えて、跡形もなく飛び去っていたりもする。
一般のテストでは、保存していたものが、そのままの形で取り出されないとまずいことが多いが、それでは、生きたものではない。従って、力もない。
生きた力あるものは、しばしば時間をかけて寝かせることで誕生する。そして、思わぬ時に思わぬ場所で思ってもみなかった形で力を発揮する。
そんなわけで、今日も遊では「仕込み」が行われる。吟味され丁寧に仕込まれた原料は、子どもたちの内で、パン種のように、サナギのように、味噌や魚醤や肥料のように、じっくりと寝かされ、時を待つ。(by52)